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 第 10 回 日展 「授賞作品」

日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書
「授賞作品」

公益社団法人 日展
(令和 6 年 6/1~ 6/23 金沢展
石川県立美術館) 開催。


第 10 回 日展 「授賞作品」
内閣総理大臣賞・文部科学大臣賞・東京都知事賞


内閣総理大臣賞( 2 名)


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日本画《懐》西田 眞人

内閣総理大臣賞 日本画 《 懐 》
西田 眞人 会員


 橋より眺めたイギリスの教会であろう、また中央の人物は本人だろうか。
作者の気持はもとより見るものに教会への赴きや優しさ静けさをも与えてくれる。
制作工程も見事で深い群青で描いたことによりその場の空気までも感じとれる
力作であった。
ライフワークに北海道から沖縄まで一の宮を訪ね制作していると聞く。
着実に制作している姿が目に浮かび頼もしい。



内閣総理大臣賞 洋画 《 Smorzando 》
西房 浩二
 会員・審査員


物の描写力は群をぬいてすばらしいと思う。
この点が評価されたが、
背景の処理などこの作家なら必ず克服できると思う。
大臣賞にふさわしい作品である。

洋画《Smorzando》西房 浩二


文部科学大臣賞( 3 名)


彫刻《青春の詩「祈り」》嶋畑 貢

文部科学大臣賞 彫刻 《 青春の詩「祈り」 》
嶋畑 貢 会員


 温和なポーズの立像だが、何故か目を引く作品で、
“匂い立つ造形”としてそのユニークさが評価されたと思う。
テラコッタ風の着色、やや前方に目を向けた美しいプロポーション、
バランスのとれた造形感覚が良く、
素直な表現は、作者の思いをそのまま潔く伝えてくれる優作である。



文部科学大臣賞 工芸美術 [陶] 《 宙 船 》
河野 榮一 
会員


宇宙空間を想起させるたっぷりとした黒色の陶、
そこに伸びやかな銀彩で描かれた煌めく銀河。
作者の幼い頃からの宇宙への憧れが、
豊かな造形美へと結実した作品である。
 陶芸の技を極めながら、独自のフォルムを追求したこの作品は、
宇宙への旅に誘うように、見る人のイメージを膨らませてくれる。

工芸美術《宙 船》河野 榮一


書《僧善住詩》有岡 しゅん崖

文部科学大臣賞 書 《 僧善住詩 》
有岡 しゅん崖
(本名:俊高) 会員


 全体的に筆力と変化に富み、豊かな表現に成功している。
それぞれの文字が、筆圧・筆速を自在にコントロールして
複雑な表情を見せるのみならず、
文字の大小や傾きを工夫して、白地の美しい行間を生み出す章法も見事である。
冒頭より落款に至るまで、リズムの良い筆運びを追うのが楽しい。
現代的な作品に仕上っている。



東京都知事賞( 5 名)


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日本画《地球のドラマ》古澤 洋子

東京都知事賞 日本画 《 地球のドラマ 》
古澤 洋子 会員


 宇宙と地球を前にすれば人間の営みとは何とちっぽけなものか。
地層の時間の流れとその圧倒的な大きさに、人間はしがみつくように生きている。
それを天空からいつもと変わらぬ姿で月が見降している。
古来美術のテーマの一つである有限と無限の対比が盛り込まれている。
 画面の主役は地層の横縞で、縦に走る岩のひだが画面に厚みを生んでいる。
各地層はしわを寄せたマチエールや墨流しの表現など様々な技巧が用いられ、
画家の技術の確かさを感じさせる。



東京都知事賞 洋画 《 影 》
佐渡 一清
 会員


 たぐいまれなデッサン力を土台にしっかりした油彩画の筆づかいである。
 高い技術で単純化された構図と色彩が明快で、詩的な情感ある作品である。

洋画《影》佐渡 一清


彫刻《わ》九後 稔

東京都知事賞 彫刻 《 わ 》
九後 稔
 会員


 目を閉じて平和を祈る女性像である。
作品名は「わ」。英語で「peace」(平和)と添えられている。
平和の祭典オリンピアードにちなむ女性像に、
今を生きる誰もが願う「平和への祈り」がこめられている。
造形的にもどの角度から見てもパースペクティブ(奥行)の深さがあり
秀逸な彫刻表現となっている。



東京都知事賞 工芸美術 [磁] 《 月の器・想日 》
武腰 一憲 
会員


シルクロードのオアシス都市で出会ったという古老。
真っ青な空間にイスラムの模様、筋雲のかかった天上の月。
「月の器・想日」と題された本作品は、
古老の遥かな視線に感じた郷愁から制作したという、
完成度の高い重厚な磁器作品。
シルクロードブームは、日本とアジアの交流の歴史と時空を大きく広げ、
いまも創作の未来を刺激している。

工芸美術《月の器・想日》武腰 一憲


書《風 華》田頭 一舟

東京都知事賞 書 《 風 華 》
田頭 一舟
(本名:節夫) 会員


 仮名のもつ優美な造形に、各行の響き合い、
それぞれの行のゆらぎの変化にも工夫が加えられて、
余白の美しい作品となっている。
加えて、装飾料紙と筆線が巧くからみ合う。
色彩のある部分には墨量を多く、
白い部分には渇筆を巧妙に配した技法もすぐれ、
仮名作品の横披作の要諦にかなう作品。
筆線も厳しさの中に仮名の優美な連綿も見事。
賞にふさわしい傑作といえる。



・作品受賞理由の批評は日展評です。
(陳列点数、日本画 297点、洋画 712点、彫刻 214点、工芸美術 552点、書 1,257点 合計 3,032点)



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